スーパーで牛乳のパックを手に取る。裏側に「消費期限」と書いてある商品と、「賞味期限」と書いてある商品がある。同じ乳製品なのに表示が違う。なぜなのか、気になったことがある人は多いはずです。この違いを起点に、食品表示の言葉を製造から家庭の冷蔵庫までの流れで見ていきます。
「賞味期限」と「消費期限」、決め方の違いは何か
賞味期限はおいしく食べられる期限、消費期限は安全に食べられる期限です。この二つは似ているようで、決める基準がまったく違います。
賞味期限は、劣化が比較的ゆっくり進む食品に付きます。スナック菓子、缶詰、乾麺などです。メーカーは保存試験を行い、味や食感が落ちない期間を割り出します。そのうえで、安全側に余裕を持たせた日数を表示します。つまり賞味期限が過ぎても、すぐに危険というわけではありません。
消費期限は逆です。傷みやすい食品、たとえば弁当、生麺、精肉などに付きます。こちらは細菌の増殖など、安全性そのものに関わる試験結果をもとに決まります。余裕を持たせる幅も賞味期限より狭く設定されるのが一般的です。
スーパーの精肉コーナーで「消費期限:今日まで」と書かれたパックが見切り価格になっている場面を思い浮かべてください。これは店が期限内に売り切ろうとしているためで、期限そのものの意味とは別の判断です。迷いやすいのは、同じ「肉」でも加工品(ハムやソーセージなど)は賞味期限表示になることです。加工の過程で保存性が上がるため、扱いが変わります。
「品質保持期限」という表示を見たことはありますか
結論から言うと、品質保持期限は今の賞味期限とほぼ同じ意味の、古い呼び方です。制度が変わる前の名残として、まれに古い在庫や輸入品のパッケージに残っていることがあります。
日本の食品表示は、過去に「品質保持期限」と「賞味期限」という二つの言葉が併存していた時期があります。どちらも「おいしく食べられる期限」を指す点では同じでしたが、表現がばらついていて分かりにくいという理由で、賞味期限に統一される流れになりました。制度は一度整理されると、しばらくは安定します。ただし将来また見直される可能性はゼロではありません。
輸入食品の棚で「Best before」の直訳のような表示を見かけることもあります。海外の基準で作られた商品には、日本の表示ルールとは別の考え方が混ざっていることがあるためです。ここは輸入元が日本の基準に合わせて再表示しているかどうかで変わってきます。
迷いやすい点は、品質保持期限という言葉自体が今も使われることがある点です。古い言葉だからといって、必ずしも表示が誤っているわけではありません。意味としては賞味期限と同じだと考えて差し支えありません。
「製造日」「加工日」はなぜ書いてある商品とない商品があるのか
製造日や加工日の表示は、法律上の必須項目ではありません。期限表示があれば、日付そのものの記載は省略できる商品が多いのです。
期限の考え方は、「製造日からどれだけ経過したか」で決まります。メーカー側は保存試験の結果から「製造日プラス何日」という形で期限を割り出し、その計算結果である期限日だけをパッケージに印字します。製造日を書かなくても、期限日さえ分かれば消費者は判断できる、という理屈です。
一方で、パン屋やケーキ店のように、その場で作って翌日には食べてほしい商品では、製造日や加工日をあえて記載しているケースがあります。焼きたてであることを伝える目的も兼ねているためです。手作り感を売りにする店ほど、この表示にこだわる傾向があります。
ここは店ごとの方針が分かれるところで、同じジャンルの商品でも表示にばらつきが出ます。加工日の表示がないからといって、鮮度が悪いとは限りません。期限までの残り日数で判断するほうが確実です。
値引きシールの「20%引き」は期限とどう関係するのか
値引きシールは、期限そのものを変えるものではありません。店が在庫を期限内に売り切るために、価格だけを調整している表示です。
スーパーの惣菜売り場では、夕方になると値引きシールが次々と貼られていきます。これは店舗の運営上の判断で、閉店前に売れ残りを減らす目的があります。値引き幅や貼るタイミングは店ごとに違い、統一されたルールがあるわけではありません。同じチェーンの店舗でも、立地や客層によって値引きの開始時刻が変わることもあります。
ここで気をつけたいのは、値引きシールが貼られている商品は期限が近いという事実です。安いからといって多めに買っても、その日のうちか翌日までに食べきれるかを考える必要があります。冷凍できる食品なら話は別ですが、惣菜や刺身のように冷凍に向かないものは、値引きの魅力と消費のペースを天秤にかけることになります。
例外的に、賞味期限が長い加工食品(レトルトや缶詰など)にも値引きシールが貼られることがあります。この場合は在庫整理や季節商品の入れ替えが理由で、期限が近いわけではないことも多いです。値引きの理由まではパッケージから読み取れないため、気になる場合は店員に聞くのが早い場合もあります。
期限切れに気づいたとき、どう判断すればいいのか
賞味期限切れなら、まず見た目とにおいを確認します。消費期限切れなら、期限を過ぎている時点で食べるのを控えるのが基本の考え方です。
賞味期限は「おいしさ」の目安であって、「安全」の境界線ではありません。したがって、賞味期限を数日過ぎたスナック菓子や乾麺は、風味が落ちていても健康被害につながる可能性は低いとされています。ただし、これは未開封で正しく保存されていた場合の話です。開封後は話が変わります。開封した瞬間から酸化や雑菌の付着が始まるため、賞味期限の日数はあてになりません。
冷蔵庫の奥から、賞味期限が1週間過ぎた開封済みのジャムが出てきた場面を想像してください。未開封なら食べても差し支えないことが多い商品ですが、開封済みとなると判断が変わります。表面にカビらしきものがないか、においが変わっていないかを確認してから判断することになります。
消費期限が付いている食品は、この考え方が通用しません。消費期限は安全性の限界を示す表示なので、期限を過ぎたら見た目やにおいに問題がなくても口にしないほうが無難です。ここは迷うところですが、「もったいないから」という理由で消費期限切れの生鮮食品を食べるのは避けたほうがいいと考えます。安全に関わる表示だけは、例外を作らないほうが結果的に安心につながります。

